バナナは日本人にとってポピュラーな果物ですが、その実から種子を発見したという人はあまりいないのではないでしょうか。あまりにも種がお目にかかれないため、もう新しいバナナの木は育っておらず絶滅も近いのではないかという噂が流れたこともありました。

実は日本人が普段よく食べているバナナは遺伝子の突然変異によって生まれた種の無い品種で、実の断面にいくつか黒い点のようなものがありますがこれが種子の名残です。稀に種なしバナナの実から種子が発見されることがありますが本当に貴重です。

種なしバナナはどうやって数を増やしているのかというと、脇芽から木に育てて数を増やしています。しかし世界での需要に比べ繁殖率は低く、将来的に絶滅してしまう恐れがあると指摘する人もいます。噂の真相は遠からずです。交配をさせずに増やすと新たな病気への耐性がつきにくく、伝染病が流行ると簡単には止められません。もしバナナが伝染病に侵されたりすれば深刻な事態に発展してしまう可能性があります。

紀元前一万年頃から愛されていたといわれる種なしのバナナはなんとも不安定な状況に立っていますが、バナナ自体は種類が豊富で、日本で食べられているもの以外に数百種類あります。世界中でよく食べられていてバナナの代表ともいえるキャベンディッシュは日本人にお馴染みの種なし品種です。紫がかった赤色が特徴的なモラード、小ぶりな実が特徴的な沖縄原産のシマバナナ、数十センチの大きさになる調理用のツンドクなどがあります。どれもキャベンディッシュとは違った味わいがあり、世界中で愛されています。

とはいっても、世界で最も人気があるのはキャベンディッシュです。食べられなくなったら悲しいですよね。そこで、自宅でもバナナを育ててみましょう。ただこれは初心者向けと言える内容ではないので実践するとしたらかなり苦労すると思います。

まずバナナ選びですが、種子から育てるか苗から育てるかを決めましょう。収穫目当てであれば苗で売られているものが味的に日本人に合うと思われます。種子から育てると時間がかかるというのもあるので苗で販売されているものを育てましょう。キャベンディッシュは大型なので自宅で栽培するには温室でも無い限り難しいです。いきなりこの品種を育てるのも難しいのでまずは他の品種からチャレンジしていきましょう。スーパードワーフキャベンディッシュや三尺バナナ、スーパーミニバナナという品種ならあまり大きくならないですし日本の環境でも育てやすいと思います。また他の品種と違って入手も容易です。

次に環境づくりですが、年中暖かい季節でなければ室内での栽培を強いられるでしょう。スーパードワーフキャベンディッシュ、三尺バナナ、スーパーミニバナナは割と低い気温にも耐えられますが、バナナの苗はあまり多く出回っているものではないので慎重になりたいところです。できるなら、室内に温室スペースを作って管理しましょう。一畳分のスペースがあればガラス温室を作ることは可能です。一畳は意外と省スペースに思えませんか?まあたった一畳でもかかるコストは結構なものです。室内温室が現実的ではないなら十五度以上の気温を保つようにしましょう。

夏場は水やりをしっかりと行い、日光にも十分に当てないといけません。鉢は二十リットルくらいの大型のものにしましょう。肥料は固形のものを夏から秋の時期に、ひと月一回の頻度で与えます。収穫後は吸い芽と呼ばれる子株を出して枯れるのでそれを株分けし、次はそれを育てていきましょう。バナナは観葉植物にも素敵なものだと思います。興味のある方は頑張って育ててみてください。